広々とした敷地内の一角には、出来たての中華を楽しめる直営店が併設されている。客席から調理場が見渡せるオープンキッチンスタイルは、同社の各店舗に共通する大きな特徴だ。厨房から立ち上る香ばしい湯気と手際よく餃子が焼き上げる音。調理の全工程を顧客に見せることは、安心・安全な食を届けているという強い自負の表れでもある。工場直結ならではの新鮮な料理を求め、昼時ともなると地元住民を中心に店内は活気づく。
名物キャッチフレーズ「3割うまい!!」って何?
ぎょうざの満洲と聞いて多くの人が真っ先に思い浮かべるのが、赤い看板に躍る「3割うまい!!」という独特のキャッチフレーズだろう。看板キャラクター「ランちゃん」の笑顔とともに親しまれてきたこのフレーズには、実は明確な経営上の哲学が隠されている。しかし同社では、その理由をあえて大々的にはアピールしてこなかった。
来店客からは「他店より3割増しで美味しいという意味だろう」「7割まずいという意味なのでは」といったさまざまな推測や冗談が飛び交うが、その真相は極めて理にかなった原価・経営管理の「黄金比率」にある。
社長として28年間同社の成長を牽引してきた池野谷ひろみ会長は、その本質について次のように明かす。
「『3割うまい!!』の本当の意味は、売り上げに対して原材料費をきっちり3割かけるということです。さらに原材料費だけでなく、人件費に3割、その他の経費に3割を充て、残り1割を適正な利益とする。これが創業者で現・相談役の金子梅吉が導き出した、中華料理店として“絶対に潰れない”理想の経営バランスなのです」
近年の激しい物価や原材料費の高騰に直面しても、この原則が揺らぐことはない。
「原材料費が上がれば、3割のルールに沿って適正に販売価格を見直す。高すぎればお客様が離れ、安すぎれば利益が出ない。3割という絶対的な基準があるからこそ、価格設定に過度な迷いが生じないのです」と池野谷会長は語る。

