今回の地震は、日奈久断層と呼ばれる熊本県南西部から鹿児島県にかけて走る断層が原因といわれているが、妙見第一橋はまさにこの断層上に架けられている。落下までには至らなかったのは不幸中の幸いだったのかもしれない、というほどの大きなずれである。
しかも、この3地点は八代市内のほぼ近接した場所にある。今回の地震では、震度7が宇城市と氷川町の2市町に限定されたため、そこに被害が集中したように思われがちだが、決してそうではない。
LPガスの爆発とみられる、大きな破壊が起きたイオンモール熊本は嘉島町、そして市のシンボルの一つであった煙突が折れ、多くの死傷者を出した日本製紙や貨物列車が転覆した現場があるのは八代市であり、揺れの影響の大きさは実は八代市が最も大きな地域のような印象も受ける。
九州の移動網は「鉄道より高速」
高速バスの運行状況も見ておこう。実は九州は以前から「高速バス王国」として知られていた。新幹線もまだ一部にしかなく、東海岸の日豊本線を走る特急列車も決してスピードが速いとは言えない。また、九州を横断する久大本線や豊肥本線も、大部分が未電化のため速達性に欠ける。
一方の高速道路は、九州の背骨となる九州道のほか、長崎道、大分道、宮崎道、そして東九州道、九州中央道、西九州道などの工事が進み、それにつれて高速バス網の整備も急速に進んでいるのだ。
九州道、大分道、長崎道が交わる「鳥栖JCT」近くの「基山PA」は高速バスの結節点となっている。頻繁に高速バスが行き来し、ここで高速バス同士を乗り継ぐ人も少なくない。
また、宮崎から福岡へ行く場合、東海岸を延々と走る日豊本線の特急に乗るよりも、「宮崎~新八代」間の高速バスに乗り、新幹線に乗り継いだ方が早く(「B&Sみやざき」と呼ばれる)、主要ルートに育っている。そんなバス網も今回、一時は完全に寸断された。
熊本県を発着する高速バスの中で最も充実した路線網を持つ、九州産交バスのホームページで震災翌日の運行情報を見ると、昼頃「福岡~熊本」間を結ぶ「ひのくに号」が運行を再開するという情報以外は、すべての高速バスが運休となっていた。

