僕はよく、こんな例え話をします。
温室で丁寧に育てられたトマトと、原産地であるアンデス山脈の野生のトマト。どちらも、それぞれに美味しいです。品種改良され、均一な甘さを持つ温室のトマトには温室のトマトの価値があります。厳しい環境で育ち、荒々しくも凝縮された味わいを持つアンデスのトマトには、また違う価値があります。
現代の東大生の多くは、確かに「温室で丁寧に育てられたトマト」に近いのかもしれません。それは決して悪いことではなく、むしろ立派なことです。教育に投資できる家庭で、恵まれた環境で頑張った結果として東大に来た人たちも、間違いなく努力の人です。でも、清野さんは、明らかにアンデス山脈のトマトです。
「ドラゴン桜的東大生」は、絶滅危惧種でも、まだ生きている
これだけ教育格差が構造化してもなお、清野さんのような「ドラゴン桜的な東大生」がちゃんと存在している――僕はこれ、本当にすごいことだと思うのです。
絶滅危惧種かもしれません。数はきっと減っているでしょう。それでも、確かに、いる。
そして彼らの物語は、「今の時代、もう努力じゃ無理だよね」と諦めそうになっているすべての中高生と、その保護者の方々に、静かに、しかし力強く、こう語りかけてくれます。
「きみは、絶対に応援されるべき人間だ」
これは、清野さんが実際に、ある警察官から言われたセリフです。同じ言葉を、僕は今この記事を読んでくださっているあなたにもお届けしたいと思います。
清野さんの物語を、ぜひ手に取って読んでみてください。「東大合格記」としてだけでなく、一人の若者が絶望の中から自分の人生を取り戻していく記録として、きっと多くの方の心に何かを残す一冊になるはずです。

