彼の背景に映っていたのは、まぎれもなく南国のリゾートホテルのテラス。しかも、ド派手なアロハシャツを身にまとい、黒いサングラスを額の上に乗せていたのだ。
「実はワーケーションで沖縄に来ているんですよ」
高らかに笑うA課長。だが、メンバーたちをさらに驚愕させたのは、画面の端に映り込んでいる「飲み物」だった。細長いグラスに注がれた淡いゴールドの液体。底からシュワシュワと立ち上がる泡……。どう見てもシャンパンかスパークリングワインである。
本人はグラスに口をつけることはなかったものの、メンバーは終始その様子が気になり、会議への集中力がそがれてしまったという。
厄介なのは、彼がいわゆる“シゴデキ”なエース級の管理職だったことだ。実力も発言力もズバ抜けているため、周囲も「それはさすがに……」とツッコミを入れづらい。結局、誰も指摘できないまま不自然な会議は終了した。
会社として自由な働き方を認めている以上、明確なアウトの線引きは難しい。だが、自由と身勝手を履き違えた振る舞いは、周囲の士気を下げるだけでなく不信感をも生む。事実、会議後の裏チャットでは「あれは絶対に酒だよな」「ワーケーションではなく完全にバケーションだろう」と、しばらくザワつきが収まらなかったそうだ。
勝手に地方移住!? 希薄化する「会社と個人のつながり」
もう1つの事例は、さらに人事の頭を抱えさせるものだった。
ある若手社員が、会社に一切の届け出を出さずに、東京から高知へ「こっそり移住」していたことが発覚したのだ。業務自体はフルリモートで完結しているため、日々のタスク処理には支障は出ていなかったらしい。

