とはいえ、フルリモートによって生産性が上がっているかといえば、疑問が残る。むしろ下がっているのではないかと思う場面すらある。その最たる例が「レスポンスの遅さ」だ。
業務のやり取りはチャットツールが基本だが、各自が自分のペースで対応するせいか、返信が極端に遅れることがある。トラブル発生時に急ぎで確認したくても担当者がつかまらず、結果的に客先へ迷惑をかけてしまったケースも耳にする。
こうしたコミュニケーションのタイムラグが積み重なり、現場では確実に見えないロスが生じている。フルリモートを数年続けてきた今、「ひずみ」が出てきているのは明らかだ。社員の働きやすさと引き換えに、職場が少しずつ「無法地帯」と化している現状を、人事として見過ごせない時期に来ている。
「ワーケーション」を履き違えたエース社員
まずは、社内で実際に起きた事例を紹介しよう。
1つ目は、現場の社員から聞いた話だ。部署をまたぐ大型プロジェクトの、とある重要なオンライン会議でのこと。画面に登場したマーケティング部のA課長(43歳・男性)の異様な姿に、参加メンバーは言葉を失ったという。

