一方のひろゆきは、議論を一歩引いた場所から眺め、相手の発言に含まれる矛盾や制度の不合理を指摘することを得意としてきた。情熱によって人を動かす泉と、冷静さや冷笑によって常識を疑うひろゆきは、正反対の性質を持っているように見える。
しかし、両者には重要な共通点もある。それは、既存の政治やメディアが作り上げた権威をほとんど信用していないことだ。泉は、国や政党の指示を待つのではなく、自治体の長が決断すれば政策は変えられると主張してきた。ひろゆきも、肩書や理念よりも、制度が実際に機能しているか、税金に見合う効果が出ているかを問題にしてきた。
保守かリベラルかではない実績重視
彼らにとって政治とは、伝統や思想を守るための営みではなく、国民の生活を改善するための実用的な仕組み作りである。そのため、この新党は保守かリベラルかといった思想信条にこだわらず、「税金を何に使い、どのような成果を出したのか」という実績主義を前面に押し出す可能性が高い。
この動きが注目される背景には、現在の政治に対する有権者の強い不満がある。既成政党は少子化対策や物価高対策を繰り返し掲げてきたが、生活が改善したという実感は広がっていない。政治家の言葉は抽象的で、国会論戦も政局や失言をめぐる応酬に終始しているように見える。
そこに現れたのが、明石市で具体的な実績を残した泉と、政治家の建前を容赦なく突くひろゆきだ。政策の細部を理解するよりも先に、「この2人なら既存政治を壊してくれるのではないか」「何か面白いことが起きるのではないか」という期待が生まれるのは当然である。
一方で、新党発足直後から、その将来を不安視させる問題も露呈している。ひろゆきの妻である西村ゆか氏はSNSで、泉との昼食に誘われた席で突然、政治団体を作るという話を聞かされ、それまで何も知らされていなかったと明かした。泉からは家族の同意が重要なので話し合うように促されたものの、その後も十分な合意がないまま新党設立が報道され、ゆか氏は「騙し討ちにあった気分です」と不満を表明した。

