熊本県で発生した地震から一夜が明け、流通・小売および食品・飲料メーカーで広範囲な被害が明らかになりつつある。大型ショッピングモールでは建物の崩落など深刻な被害が発生しているほか、生活インフラであるコンビニエンスストアやドラッグストアでも、停電や物流網の寸断により一時休業や配送遅延が相次いでいる。
嘉島町にある大型商業施設のイオンモール熊本では、地震発生後に敷地内で爆発が確認されたほか、一夜明けて施設2階部分の崩落など甚大な被害状況が判明しつつある。
イオンによると、施設内では地震発生直後に来店客の避難誘導を実施。その後、モール内に出店する204の専門店やグループの従業員が避難行動をとっていたという。同社は独自の安否確認システムを通じ、従業員約2700人の状況把握を進めているが、依然として従業員4人の安否が不明という。
県によるとこれまでに9人が救出され、うち3人の死亡が確認された。現場には自衛隊も派遣され大規模な救助活動が続いており、イオン広報は被害の全容や原因について「確認中」としている。イオンは29日、「尊い命を失われた方々に対し、心よりご冥福を申し上げる」とするコメントを発表。「ご遺族の皆さま、負傷された皆さまに深くお詫び申し上げる」とした。
また、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスが運営するドン・キホーテでは、一時県内5店舗で営業を停止した。現在は被害が大きかった八代市の店舗のみが休業状態となっており、その他の店舗では落下物の清掃や撤去作業に伴ってフロアを一部閉鎖しながら営業を再開している。
コンビニなど生活インフラも被災
生活に欠かせないコンビニエンスストア各店でも、店舗の安全確認や停電、従業員の出勤困難などを理由に休業が相次いでいる。
セブン-イレブン・ジャパンによると、29日午前11時時点で県内約80店舗が休業しており、物流網の寸断などによる配送の遅れも生じている。同社は被災店舗へのバックアップを進めており、加盟店に対して商品供給や人員支援を約1カ月にわたり実施する。
ローソンでは、29日午前8時時点で県内の55店舗が営業を停止しているものの、現時点で人的被害は確認されていない。同日午後には竹増貞信社長が現地入りし、被害状況を直接確認したうえで復旧支援に乗り出している。ファミリーマートも県内39店舗が休業に見舞われており、同社広報は物流への影響も含めて復旧の見通しは立っていないとしている。
九州を地盤とするドラッグストアのコスモス薬品は、被災当時来店していた客や従業員に怪我はなかったとしたうえで、29日午前11時10分現在、県内93店舗で営業を継続している。
各所で道路の不通が見られるものの、流通経路を再設定することで通常通り納品できる見通しを示した。安全確認などのため13店舗で営業再開が未定となっている一方、14店舗は29日中の再開を見込んでいる。同社広報は、地域住民へ消耗品を届ける社会インフラとして通常通り機能できるよう、店舗の一刻も早い復旧に尽力したいとしている。
ホームセンターを展開するコーナン商事では、商品が什器から落ちるなどの安全確認のため、県内の「コーナンPRO」1店舗、「建デポ」2店舗、「HIひろせ」1店舗が営業を休止している。今後は地震発生に伴う周辺地域の需要に加え、全国的な防災意識の高まりにより防災用品の需要が大きく伸びることが想定される。

