第2次世界大戦後もパリ―イスタンブール間の「オリエントエクスプレス」は生き残ったが、航空機の発達などにより、飛行機が乗れない人々を拾う格安急行列車になり下がった。1977年、パリ―イスタンブール間の「オリエントエクスプレス」が廃止となった。ちなみに、「オリエントエクスプレス」を名乗る定期列車が廃止になったのは2009年であり、最後の運行区間はストラスブール―ウィーン間だった。
ドイツ―トルコ間を走った「イスタンブールエクスプレス」は、「庶民の列車」というべき存在だ。芦原伸著『世界の名列車、車窓の旅』(講談社)によると、1990年代の同列車はファーストクラスであっても、6人掛けのコンパートメントに労働者風の男性4人が座り、汗とたばこが充満するあり様だったという。ユーゴ紛争の影響もあり、「イスタンブールエクスプレス」は1993年に廃止された。
ユーゴ紛争後、1990年代初頭に運行を開始した「バルカンエクスプレス」(ベオグラード―イスタンブール間)が存在したが、2013年に廃止された。2017年に「イスタンブール・ソフィアエクスプレス」が誕生し、現在に至る。つまり、「イスタンブール・ソフィアエクスプレス」は「バルカンエクスプレス」「イスタンブールエクスプレス」、そして「オリエントエクスプレス」といった名列車を引き継いだ列車といえる。
トルコ鉄道の車両で運行
2月乗車時の「イスタンブール・ソフィアエクスプレス」ソフィア発イスタンブール行きのダイヤはソフィア駅発18時50分、イスタンブール・ハルカリ駅着翌日9時56分だった。なお、ブルガリアとトルコの間にはサマータイムを除き時差があり、ブルガリアの方がトルコよりも1時間遅い。
7両編成の構成だが、イスタンブールまで行くのはトルコ鉄道所属の前3両である。3両のうち、2両が2人用個室、1両が4人用個室だ。私は2人用個室を1人で使った。個室内には洗面台や冷蔵庫があり、車両端のトイレも含め、車内は清潔だった。
発車前に、トルコ鉄道の車掌が車内を訪れ、深夜にブルガリアの出国審査とトルコの入国審査があることを告げる。18時50分、ヨーロッパらしく何のアナウンスもないまま、ソフィア駅を後にした。

