ソフィア―イスタンブール間の路線距離は約600kmであり、東海道・山陽新幹線の東京―姫路間とだいたい同じだ。ソフィアとイスタンブールの間には1日1本の国際夜行列車が存在する。ブルガリア側の始発駅はソフィア中央駅だ。一方、イスタンブール側の終着駅は市内中心地のシルケジ駅ではなく、郊外のハルカリ駅となる。オンシーズンになると、ブルガリアのディミトロフグラード駅にて、ルーマニアの首都ブカレストからやってきた列車を分割・併合する。
ちなみに、ソフィア―イスタンブール間の航空便は1日4~5便しかなく、ブルガリアとトルコは隣国ながらも、両国間の定期便はあまり多くない。実際のところ、公共交通機関よりも、自家用車での移動が多いのだろう。
オリエント急行のなれの果て
現在のソフィア―イスタンブール間はかろうじて両国間を結ぶ夜行列車が存在する程度だ。一方、40年前にあたる1986年のトーマスクック時刻表を見ると、同ルートがヨーロッパとアジアを結ぶ役割を果たしていたことがわかる。当時、西ドイツのドルトムント、ミュンヘンからザルツブルク(オーストリア)、ベオグラード(ユーゴスラビア)、ソフィアを経て、イスタンブールに至る国際列車「イスタンブールエクスプレス」が運行されていた。
イスタンブール行きのダイヤを見ると、ドルトムントを11時20分に発車し、イスタンブール駅には翌々日の15時55分に到着するダイヤだった。また、ベオグラード駅までは、ギリシャ・アテネ行き「ヘラスエクスプレス」を連結していた。
この「イスタンブールエクスプレス」こそが「オリエントエクスプレス」のなれの果てだった。「オリエントエクスプレス」はパリとイスタンブールを結び、全盛期の1920年代には豪華な寝台列車や食堂車を連結し、「走る社交場」と呼ばれたことは、多くの読者がご存じのことだろう。

