例えばジェイ・Z。彼はラップ界一のハスラーと言っても過言ではない男だ。ストリートのビジネスから始まり、ビジネスの基本である予算管理を学んだ後に、音楽からファッション、ファッションから映画、飲料、スポーツ、テクノロジーと、近い領域から遠い分野までどんどんビジネスの幅と規模を広げていった。
川崎のストリートハスラーからラッパー・起業家へと変身を遂げたYZERRは、度々ジュエリーのような贅沢品だけでなく、さらに多くの金をビジネスに投資しているとラップし、語っている。
とにかく億万長者になりたい人にとっても、少しでも生活を好転させたい人にとっても、ラッパーたちはモチベーションと的確な助言をくれる貴重な存在だ。ハートは熱く、頭はスマートに、ハスラーのように成し遂げてみせよう。
不完全である自分を受け入れることで「リアル」な存在に近づく
「リアルであれ」「フェイクはダサい」。このようなフレーズは、ヒップホップ界ではよく聞くものだ。ただあくまでヒップホップ界特有で、現実世界にこの概念は当てはまらないのかもしれない。親に「お前はフェイクだ」と言われたり、友達に「もっとリアルを追求しろよ」と言われたりした経験は少なくとも僕にはない。しかし、よくよく考えてみてほしい。ラッパーじゃなくても、僕たちは密かにリアルに憧れているのだ。
リアルとは、言い方を変えれば「自分に正直に生きること」。無理して相手に合わせて自分じゃないキャラを取り繕うのはしんどいし、嫌いなことを、自分を騙してやり続けるのも最悪だ。僕たちは密かにありのままの自分、リアルな自分を追いかけている。
ラッパーたちは、どんな田舎で生まれ育とうと、どんなに悪名高い街出身だろうと、自分の生まれ育った環境を隠そうとはしない。田舎臭いと思われるかもしれないし、よくわからないと思われるかもしれない。それでもその環境のリアルを伝えているのだ。
彼らは、普通なら隠しておきたい過去や内面を音楽に昇華することで、むしろ強みに変えているのだ。リアルの専門家であるラッパーは、弱さを強みに変換する専門家でもあるのだ。
サウスのラップが世界を席巻したように、最初は田舎くさいと思われていたスラングや方言は、いつしかそれそのものがかっこよさに変わっていた。ラッパーが綴る内面のリアルは、たとえ弱さや痛みを含んでいても、不完全だからこそ人を惹きつけ、リスナーに強い共感を生む。これができればもう最強だ。どんなピンチもチャンスに変えてしまえるのだから。

