リアルとは、ギャングスタであることや大金を手にすることでもなければ、めちゃくちゃモテることでもない。むしろ不完全である自分を受け入れることであり、それすらも武器に変えてしまう逞しさだ。
こんなこと、きっと友達も言ってくれないからここで言っておこう。「もっとリアルを追求しろよ」。
ヒップホップは人生の相棒
ヒップホップは人生の教科書だ。他のどの音楽を見ても、ここまで個人の人生の物語やそこから得た教訓をリスナーに共有してくれる音楽はなかなかない。書店に行って偉人の伝記に手を伸ばさずとも、ラッパーたちの音楽や活動を楽しみながら追っかけているうちに、自然と人生についても学べる優れものだ。
ここまでで紹介した具体的な教訓は、「まずは好きに生きていい」ということ。あなたの“好き”が金を追うことでも、何か情熱に向かうことでも、また現状維持だとしてもそれはそれで素晴らしい。
ただ、好きに生きるのには、ある程度の責任や覚悟が伴う。そこでもまたヒップホップは背中を強く押してくれるし、時にはピンポイントで必要なツボを突いてくれる。ラッパー直伝、ハスラーのメンタリティを胸にしまっておこう。そして、ハスラーメンタルで頑張る時には、自分のリアルに忠実に。弱さすらも強みに変えられるのだ。
しかし、最後に一つ注意点。ヒップホップは、美しいと同時に醜くもあるということを言っておかなければならないだろう。ヒップホップを好きになり、のめり込み、近づいていくほど理想とは相反した現実を見ることになるかもしれない。今やヒップホップはどでかいビジネス。綺麗事や理想だけではやっていけないのだ。嫉妬、見栄、慢心、裏切り、執着、エゴ……。あらゆるダサさがヒップホップ界には渦巻いている。
時にはため息をつき、がっかりすることもある。ただ、ふとした時に、僕はこうも思うのだ。「かっこよさがあれば、ダサさがあるのもリアルじゃないか」と。ヒップホップは人生の教科書だと書いたが、これは、耳触りのいい成功哲学を並べるだけの自己啓発本ではない。矛盾だらけの生き物、人間のリアルな葛藤を描いた生存記録なのだ。「ああはなりたくない。」そう思う瞬間すら学びになる。
学び方は無限大だ。腰を低くドーンと構えて、自分に必要な教えを選び取ればいい。そうすればあなたにとってヒップホップは、自分らしく生きる旅の相棒になるだろう。


