有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #ホットイシュー

「暑ければ我慢すればいい」エアコン普及率3%、教室内40℃、猛暑5000人超死亡…のドイツがそこまで我慢をする理由

9分で読める
ヨーロッパの天気予報。全域で極端な高熱と熱波が見られる(写真: Alones Creative/Getty Images)
2/4 PAGES
3/4 PAGES
4/4 PAGES

ドイツの人は昔から「どんな気候の時も、いかなる時も、換気をすればすべてオーライ」と考えています。「夜、眠れなかったら窓を全開にしてよい睡眠を誘う」「頭がぼーっとして来たら、空気が悪いから窓を開ける」「冬に風邪気味の人がいたら、家中の窓を全開にして空気の入れかえをする」といった具合です。

当然ながら暑い時も思考回路は変わりません。近年の地球温暖化による暑さが正常な範囲内の暑さではないことを直視せずに、従来の「暑ければ窓を開ける」という思考回路のままなのです。

原始的な「ドイツ流」は今後もう通用しない

そうはいっても、前述通り、わが実家に関しても、どの部屋にもエアコンなんてありませんから、悪口ばかりも言ってられません。筆者も10日間、実家の窓という窓を全開にしては換気をしていました。

日中は暑いものの、日本とは違い空気は乾燥していますし、夕方や夜になればだいぶ涼しくなるのですから、昼間だけの我慢です。でも、困るのは外からハエなどの虫が部屋の中に入ってきてしまうこと。実家には現在誰も住んでいませんから、筆者が日本へ帰国後はマンションに閉じ込められたハエたちが死んで、明るい色のじゅうたんに次々と落ちていくことを想像すると、ちょっとホラーです。

ドイツの週刊誌『シュピーゲル』によると、ドイツでは気温が30度を超えると、多くの人が仕事で集中できず生産性が下がるため、ドイツの経済に4.3億ユーロ(約800億円)の損失が生じるそうです。またドイツの研究機関ロベルト・コッホ研究所(RKI)は26年6月の猛暑でドイツで5100人が熱中症で死亡し、間接的に暑さで死亡した人の数はそれよりもさらに多いと発表しました。

ドイツではかつて「Hitzefrei」という制度が絶賛されていました。これはドイツの学校で、あまりにも暑い日に授業を早く切り上げ休みにする制度のことです。

このHitzefreiは、19世紀(1892年、明治25年)にプロイセンの文部省が導入したもので「午前10時に日陰の気温が25度を超える場合、学校の授業は4時間目以降は中止すべし」というものでした。現在は多くの州で「教室の温度が27度を超えた場合にHitzefreiが可能」とされているものの、Hitzefreiにするか否かの判断は学校の経営陣に委ねられることが多いのです。

一昔前、27℃を超える日はそう長く続かなかったため、Hitzefreiは生徒にとって「嬉しいサプライズ」でした。11時台に学校が終わると生徒は皆大はしゃぎだったものです。しかし暑い日が続く今では状況が違います。通常より短いとはいえ猛暑のなか教室にいる時間は苦痛ですし、Hitzefreiで早く学校が終わっても、家の中で涼めるわけではありません。理由は言うまでもなく、家にもエアコンがないからです。

今後は「暑かったら生徒を早く家に帰せばよい」「暑かったら窓を開ければよい」なんて原始的なことは言わずに「現在のドイツの夏は猛暑日が続く」という現実を直視し、暑さへの現実的な対策を行うことが求められます。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数