親の批判的な言葉や態度が多い環境は、子どもの情緒や脳の反応と関連することも報告されています。だからこそ、家庭の中の言葉の届き方は軽く扱えません。
否定の言葉は、親が思うより濃く残る
私は発達科学コミュニケーションの講座で、よくこうお伝えしています。
肯定は、親が思っているより、目減りして届く。否定は、親が思っているより、割り増しで届く。
たとえば、親が朝から何度も声をかけていたとします。
「おはよう」「起きられたね」「顔洗ったんだ」「靴下はけたね」「水筒持ったね」
そのあと最後に、「なんでそんなに遅いの!」と言ってしまった。
親としては、肯定もたくさん言っているつもりです。実際、たくさん声をかけています。けれど、子どもの記憶に強く残るのは、最後の「なんでそんなに遅いの!」だったりします。
なぜなら、否定的な言葉や強い感情を含む言葉は、脳にとって“危険を知らせる情報”として受け取られやすいからです。
これは、親が悪いという話ではありません。人間の脳は、安心できる情報よりも、危険や否定に関わる情報に強く反応しやすい性質を持っています。脳活動を測った研究でも、ネガティブな情報のほうが強く処理されやすいことが示されています。
だからこそ、親にとっては何気ない「早くして」「まだやってないの?」という一言でも、子どもの脳には、親が思う以上に強く届いていることがあるのです。
親の注意は、多くの場合、正しいことを言っています。
宿題はやったほうがいい。朝は支度をしたほうがいい。ゲームは時間を決めたほうがいい。人を叩いてはいけない。どれも間違っていません。むしろ、親としては言わなければならないことです。

