けれど、子どもの脳が「責められた」「否定された」と受け取った瞬間、その正しい内容は入りにくくなります。
正しいことを言っているのに、届かない理由
本書の中に、こんな実話を掲載しています。
“学校から帰ってきた子どもが、玄関でランドセルを放り投げてプリプリ。「お帰り」の声にも応えません。”
こんな場面に出くわしたら、多くの親御さんは思わず、「なんでランドセルを投げるの!」と言いたくなるのではないでしょうか。
もちろん、ランドセルを投げること自体は、好ましい行動ではありません。しかし、この瞬間にそこだけを注意すると、子どもの脳には「また怒られた」「自分の気持ちは聞いてもらえない」と届きやすくなります。
本当に見るべきなのは、ランドセルを投げた行動そのものだけではありません。ランドセルを投げたくなるほど、何かがあったのか。返事ができないほど、どんな感情がたまっていたのか。そこに目を向ける必要があります。
だから最初の一言は、「どうしたの? 何かあったみたいだね」でいいのです。
これは、ランドセルを投げることを認める言葉ではありません。子どもの荒れた脳を、まず聞ける状態に戻すための言葉です。
そのあとで子どもが話し始めたら、「へえ」「それで?」「他には?」と、否定も肯定もせずに吐き出させていく。子どもの脳が落ち着いてから、必要なことを伝える。
この順番を間違えると、親は正しいことを言っているのに、子どもには「否定された」という記憶だけが残ってしまうのです。
では、注意や提案の前に、どうすれば子どもの脳を「聞ける状態」にできるのか。後編では、その入り口となる「肯定から入る」声かけの具体的な方法を紹介します。

