ふたたび『LIFE SHIFT』に話を戻そう。同書には、「長寿化は、これまでよりもさらに長く働く時代を意味する」旨の記述がある。
だが、そう指摘されるまでもなく、これは多くの方が“なんとなく”感じていることであるに違いない。そして、それは今後の生き方を考えるうえでモチベーションを高めてもくれることだろう。
寿命の延びに応じた、勤続期間の延び
さて、ここで「人生70年」の時代のルートをあらためて考えてみよう。
22歳まで学生として学んだのち社会に出て、会社員として60歳まで働いてから、以後10年の老後を送ったとする。
その場合、計算上は人生全体の54%が“働く期間”で、14%が老後ということになる。あくまで計算上ではあるけれど、感覚的にも“昔の考え方”のようにも思えなくはない。
では現在、すなわち“男女合わせた平均寿命84歳の時代”はどうだろう。その場合は22歳まで学び、上記と同じように人生の54%を働くとしたら、勤続期間は46年ということになる。
ゴール(という表現が適切であるか否かはともかく)は68歳なので、いまの時代によくある“65歳リタイア”に近い。
つまり65歳雇用は「以前より長く働かされている」ということではなく、単に「寿命の延びに応じた勤続期間の延び」にすぎないと捉えるべきではないだろうか。
そもそも、いまの時代には、「働かされている」ではなく、「働きたいから働いている」人のほうが多いと考えたほうが自然だという気もする。
しかも、「老後が短くなった」わけではない。ここは非常に重要だ。たとえば65歳から84歳までだと、残されている時間は19年。「人生70年」時代の老後から、ほぼ2倍となっているわけだ。
そのぶん働く期間も延びたが、それ以上に老後自体も延びているのである。
また注目すべきは、著者がこののち「『71歳でリタイア』を誰もが同様に受け入れる必要はない」と述べている点だ。
この点には、強く共感できるし、個人的にはもはや「71歳でリタイア」はちょっと早いのではないかとすら感じる。もちろん捉え方は人それぞれ異なるだろうけれども、もはやそういう感覚が不自然ではない時代に入っているように思えてならないのだ。

