65歳でリタイアする、70歳あるいはそれ以上まで働いてリタイアする、逆にリタイア年齢を60歳あるいはそれ以前にすることだってあっていい。(40ページより)
自分は何歳まで働くべきなのか、何歳まで働けるのか、それ以前に何歳まで働きたいのか。望みを実現させるためには、どう考えればよいのか。
すべての答えは自分自身のなかにあり、どのような方向性を選択するかも自分次第。
つまり世にいう「人生100年時代」は、リタイアの多様性の時代でもあるということだ。もはや、そう考えていい段階に入っているのだろう。
「高齢者は低賃金」は過去のもの
「リタイア・シフト」、つまり引退に関する諸々の価値観が変化しているとしたら、それは喜ばしいことだ。しかしその一方、「高齢者にできる仕事は低賃金」といったイメージも根強く残っているのではないだろうか。
いくら働きたいとはいえ、できれば低賃金は避けたいと考えるのは当然の話だ。しかし著者によれば、リタイアを取り巻く環境がいま、大きく変わり始めているようだ。
定年年齢も引き上げが進む。65歳定年制の企業はすでに3割を超えている。その増加スピードは速く、10年を待たずして5割を超えることになるだろう。これについては大企業のほうが実施が遅く、中小企業が先行して定年延長に取り組むようなユニークなトレンドも生じている。(41ページより)
より好条件で働き続けたい方にとっては願ってもない話だが、なぜ、そのように雇用条件は改善していくのだろうか。
最大の理由は、わが国では雇用が大幅に不足していくことにある。若者は減り、奪い合いとなるだろう。そんな状況下において、社内にいる技能熟練者を手放したり、低賃金で単純労働させたりするのは愚の骨頂である。
対応の早い企業ほど、それに気がつき始めているということだ、
ご存じのとおり、00年代から10年代は、「65歳まで年金が出ないのだから、それまでは低賃金で働くしかない」という考え方が半ば常識化していた。
すると当然ながら気持ちも後ろ向きになるため、ともすればリタイア後の労働は「つらいもの」として語られがちだった。
しかし今後は、「不本意ながら働く」のではなく、「自分の意思に従って働く」ことができるようになるということだ。
とかく報道ではネガティブなトピックスばかりが強調されがちだが(そのほうが耳目を集めやすいからだ)、もう、それらを信じ込む必要はないのかもしれない。
少なくとも、著者のいう「リタイア・パラドックス」を信じて前向きに動くほうがずっと健全である。

