「副首都=大阪」という既定路線は、いまだ制度として確定していないのに、「大阪ありき」がなぜ問題になるのだろうか。それは、ほかの複数都市も検討の対象にしなくては、という大前提があるからだ。
だが、この大前提も単純な二者択一論に見える。「大阪の属性」が副首都として本当にふさわしいか否かについては、あまり議論されてこなかった。
副首都の第1の使命は、首都直下地震などで東京が機能を失っても、国の統治を止めずに続けられる代わりの拠点になることだ。この目的に沿うなら、候補地には2つの条件が求められる。
まず、東京を襲う地震の原因となる断層やプレート境界とつながっていないこと。東京と同時に被災する危険が低い地域を選ばねばならない。東京からどれくらい離れれば安全かを一概に決めることはできないが、少なくとも東京と同じ災害の範囲には入らないだけの距離を取る必要がある。
もう1つは、南海トラフ大地震のように東京にも被害が及ぶ広域災害の範囲に入らない地域であることだ。
利便性以上に重んじるべき要素
副首都を選ぶ際は、平時の交通の便や整備コストの低さも考慮される。しかし、それ以上に重んじるべきは、都市の規模や整ったインフラそのものではなく、大規模災害への強さと東京からの独立性だ。
東京と同時に被災せず、災害時にも機能を保ち、将来土地を広げる余地も残されているか。この視点から見直せば、これまで有力とされてきた候補地についても、改めて考え直す必要がある。
例えば、大阪や神戸は経済規模や都市機能では非常に優れた地域であるものの、前述のとおり、南海トラフ巨大地震による被害想定が課題となる。東京との同時被災を避けるという観点では、慎重な検討が求められる。
また、日本海側の各都市についても、近年、大規模な地震が相次いで発生しており、副首都候補として評価する際には、地域ごとの地震リスクを十分に考慮しなくてはならない。

