だが、このドラマ、脚本家・生方美久が「共感や感動を目指した物語ではないので、人間観察の感覚でお楽しみください」と語っている(TBS番組公式サイトより)。
それに合わせて蒼井優は「生方さんがおっしゃるように、共感や感動とはまた違う作品。『わーっ!』と思いながら見ていただけたら」と語り、中島歩は「安易な共感や感動を寄せつけない野心的で挑戦的な作品になると思います」と話す。わざわざ「共感や感動」がないことを作家と俳優、3人がそろって「放送前コメント」として語っているのだ。
共感や感動がないという言葉を、SNSではネガティブな意味で捉えている声も見かける。だがそういうわけではないだろう。プロデューサーの千葉行利は「綺麗ごとは一切なしの毒入りのヒューマンドラマをお届けしたいと思います」と語っている。
つまり、やさしくあたたかい、そのままでいいと受け止める世界ではないということだろう。え?どういうこと?と価値観が揺らぐドラマなのだと想像する。昭和時代、向田邦子や山田太一が書いていたような、人間の深淵に潜るようなハイクオリティのドラマが期待できるかもしれない。すでにそんな予兆はある。
「ドジかわいい」主人公と見せかけて…
2組の夫婦の複雑な関わりを描いた不倫ドラマなのか?と思わせる点に関しても、劇中で「同じ境遇で意気投合して喪失を埋めるように惹かれ合った」と、いかにもな不倫ドラマの設定を揶揄するようなセリフがある。
また、クライマックス、主題歌がかかり、咲子と樹生がタバコとシャンプーの思い出に浸りながらぐぐっと近づきそうにーーというよくあるロマンティックなパターンがある。だが、それをしれっと崩し、感動させないのである。

