教職員支援機構(NITS)は、教材研究を「教材に含まれる価値を明確にし、指導方法を決定していくこと」と定義し、「教材価値の明確化」「目標と内容の設定」「指導方法の決定」という3つの要素で説明しています(新名主、2023)※1。指導方法を考える前に、まず教材の価値そのものを明らかにすることが求められているのです。
この構造をよりわかりやすく示しているのが、堀裕嗣先生の整理だと私は思っています。堀先生によれば、「教材研究」という言葉はもともと、次の3つの研究の複合体※2でした。
- 教材にする素材そのものを研究する「素材研究」
- 学習者の実態を研究する「学習者研究」
- その素材と学習者を結びつける学習活動を研究する「指導法研究」
※1 新名主洋一「教材研究の方法」基礎的研修シリーズNo.12、独立行政法人教職員支援機構(NITS)
※2 堀裕嗣 note「教材の考察」(2022年8月13日)、「『教材研究』の構造」(2024年9月)
教材研究は足し算ではなく「掛け算」である
算数科に置き換えると、こうなるでしょう。
素材研究は、その問題に潜む数学的な構造や原理・原則を、教師自身が1人の解き手として解き明かすこと。学習者研究は、子どもがどこでつまずくのか、どんな経験を持ち、どんな解釈に分かれるのかを想定すること。指導法研究は、その2つを結びつけるために、どんな発問をし、どんな活動を組むのかを設計すること。

