ITの世界では、1カ所が壊れるだけで全体が止まる構成を「単一障害点」と呼び、設計上の弱点として真っ先に対処します。
ところが物流では、同じ構造的リスクがあっても「冷蔵倉庫は替えが利かない」「長年の取引がある」と、半ば仕方のないものとして受け入れられてきたのではないでしょうか。
ニチレイが特別に脆弱だったという話ではなく、シェア上位の事業者に問題が起きた場合、同じ混乱が起きたはずです。どこでも起こりうる構造だからこそ、自社の側で備えておくことに意義があるといえます。
SaaSは点検するのに、物流が後回しにされる理由
多くの企業はすでにサプライチェーンのサイバーリスク管理を始めており、SaaSの導入時にはチェックシートを送り、委託先には契約条項を設け、個人情報を預ける先には監査も実施しています。ですが、「倉庫を運営する物流事業者に対しても、同じような観点でセキュリティを点検していますか」と聞かれたとき、答えに詰まる企業は少なくないはずです。
ここで露呈するのは、リスクの捉え方の偏りです。サイバーリスクと聞けば、多くの人はデータ漏洩やシステムの乗っ取りを思い浮かべます。そのため、個人情報を扱う委託先やクラウド基盤は点検対象になります。
一方で物流事業者は「現場はモノを動かすことが重要であり、データやシステムのリスクとは縁が薄い」とみなされ、点検の優先順位が下げられ後回しにされがちでした。

