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築55年の団地に4580万円かけた男性 「損しても困らない人生にしたかった」 宇宙スタートアップ勤務・39歳のひとり暮らし

10分で読める
安達俊貴さんの部屋
築55年の団地をフルリノベーションした安達俊貴さんが見つめてきたものとは?(撮影:梅谷秀司)
  • 蜂谷 智子 ライター・編集者 編集プロダクションAsuamu主宰
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規範を演じるのが苦しく、そこを降りたはずの安達さんだが、礼儀や型を重んじる弓道界とは、縁を切っていない。それどころか教える側に立っている。

「弓道は礼儀や型、伝統を重んじる世界です。外側の型を正しく修めようとするからこそ、鍛錬を積むほど、今の自分の気持ちと距離を感じてしまうこともあります。それでも、そのように内面を掘り下げることこそが鍛錬ですし、教えてくれた先生方への恩義があるので、自分なりの距離感でこれからも弓道と付き合っていきたいと思っています 」

少し困ったように、安達さんは言った。

「辛いのは辛い」でいい——生きづらさを、支点に変える

宇宙、弓道、古建具——一見バラバラな要素を束ねるものを尋ねると、答えは意外なものだった。

「私の根底には生きづらさがあって。でも、その生きづらさがないと、こういう家にしようとも思わなかったし、美意識は育たなかった。生きづらさをそのままに、それを支点にして生きられるんじゃないかと。

幸せであることには、こだわりを持たなくなりました。『辛いものは辛い』でいい。それがエネルギーになって、何か美しいものを、この人生から生み出せるなら、いいやって」

広い土間には、奥に弓道の弓と矢が置いてあった(撮影:梅谷秀司)

そんな安達さんに、これからの人生のミッションを聞いた。

「『こんなふうに生きられるよ』というサンプルになることですかね。いわゆるモラルで便利に片付けられてしまうものが、本当に周りの人々の幸せとつながっているのかな——っていう疑問があるんです」

『だから、ひとり暮らし』(東洋経済新報社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

帰り際、もう一度部屋を見渡した。損得で測り、規範に合わせ、一度心を壊した人が、二度と沈まないためにつくりあげた空間。そこは住まいであると同時に、彼自身の探求を映し出す作品のようにも見えた。

本連載では、ひとり暮らしの様子について取材・撮影にご協力いただける方を募集しています(首都圏近郊に限ります。また仮名での掲載、顔写真撮影なしでも可能で、プライバシーには配慮いたします)。
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