「3年目からは、自分が興味を持てる専門科目を優先して履修するようになりました。すると、少しずつレポートも書けるようになり、大学で学ぶ面白さも実感できるようになりました」
コロナ禍と結婚・妊娠・出産…8年半かけて卒業
それまでは、舞台に立ちながら大学での勉強を続けていた彩月さん。しかし、20年以降のコロナ禍で、出演予定だった舞台が次々と中止になります。
「慶應通信で勉強を続けておかなければ、働き口がなくなるかもしれない」と、彩月さんは、いつ収束するかもわからないコロナ禍で、将来への不安と危機感を抱いていました。
そこで、「今できることに集中しよう」と気持ちを切り替え、一つでも多くの単位を取得することを目標に、大学での勉強へ一層力を注ぐようになりました。
公演が中止となっている間は、大学での勉強に打ち込む日々が続きました。そうして学習を続ける中で、22年には公演も徐々に再開し、彩月さんも再び舞台に立つようになります。
その後、結婚し、2度の妊娠・出産を経験します。第一子の妊娠中は体調が優れず勉強を休みましたが、出産後に再開。育児と舞台の稽古を両立しながら、少しずつ単位を積み重ねました。第二子の妊娠中には卒業論文を書き上げ、出産後には口頭試問に臨みました。
彩月さんは、勉強を続けられた理由について、「苦労がそのままゲームのような感覚に変わっていった」と語ります。
「毎日夜12時になったら慶應通信のサイトを確認して、レポートが合格になっているのを確認できた時の喜びがすごかったんです。こんなに苦労して取った単位を諦めて、大学を辞めるという選択肢は、もう自分の中にはありませんでした」
SNS上の慶應通信のコミュニティーで生まれたつながりも、大きな支えになりました。試験後に仲間と集まる時間を楽しみ、お互いに励まし合う。仲間の存在が、孤独になりがちな通信制大学の勉強を続ける力になったといいます。
こうして彩月さんは、8年半にわたる慶應通信での学びを経て卒業に必要な124単位を取得し、念願の卒業を果たしました。
「在学中は、自分が慶應生だという実感がありませんでした。卒業式で初めて塾歌を聞いたほどです。8年目にして初めて日吉記念館に足を踏み入れ、同じ学位記を持った同期たちの姿を見た時、初めて『私も同じ空間にいていいんだ』と思えました」

