宅配便で届いたiPhoneやiMacの箱を開けるとき、中身が壊れているかもしれないと身構える人は、まずいないだろう。当たり前のように無傷で届く――その安心感は、実は膨大な検証の上に成り立っている。筆者は、その裏側を確かめる機会を得た。
アップルが製品の箱を研究・開発する「パッケージングラボ」に、日本のメディアとして初めて足を踏み入れたのだ。梱包は、企業のコストにも、物流の効率にも、そして脱炭素にも直結する経営テーマである。だからこそ、その現場でアップルが何を計測し、どう意思決定しているのかは、業種を問わず示唆に富む。
結論から言えば、そこにあったのは「勘」ではなく「データ」で梱包を設計する徹底した仕組みだった。
数十万円のiMacを、1メートルから10回落とす
ラボでまず見せられたのが、巨大な落下装置による実演だった。テストエンジニアが、iMacの入った箱を1メートルの高さから床へ落とす。数十万円する製品を、である。しかも一度きりではない。すべての面、角、辺を対象に、同じ箱を合計10回以上落とす。
落下の瞬間には、箱の底にある段ボール製の緩衝材がどれだけ潰れ、どれだけ跳ね返るかを、ハイスピードカメラが捉えていた。撮影のために強い照明がたかれ、まさに一瞬を解析する構えだ。目の前で製品が叩きつけられる光景は、正直に言って衝撃的だった。

