MT6は、ジウジアーロが創業したイタルデザイン(Italdesign)がスタイリングを手がけることでイタリア車としての外観を整えているが、ベースは中国製のアーキテクチャーである。
かつての歴史的ブランドの知名度を利用するこの手法は、法的な制裁を回避しながらイタリアブランドとして認知させるための、徹底した生存戦略といえる。
日本の特異性と、地続きのグローバル・リアリズム
このような「中身は中国車で、バッジだけを自国製に貼り替えて売る」という手法が、現在の日本で受け入れられるのは難しいかもしれない。日本の自動車ファンの多くは、ブランドの独自性やエンジニアリングを重視するため、こうした手法を心情的に嫌う。
さらに言えば、国内市場において、安価で機能の優れた軽自動車やコンパクトカーが容易に手に入る世界的に見てもたいへん恵まれた環境があるため、よほどの付加価値がない限り、価格競争力を持つことは難しいであろう。
しかし、その状況も変化しつつある。原材料高や安全・電動化装備の義務化により、日本車の国内価格も高価になり、身近な乗り物ではなくなってきたからだ。
海外の大衆車マーケットに目を向ければ、かつて日本車が強みを持っていた“安くて良い実用車”のポジションは、さらに安価な中国車や韓国車に奪われる可能性が十分に考えられる。
また、中国車のバッジエンジニアリングを完全に否定することもできないだろう。現在、中国市場でのシェア減少を防ぐため、日本の主要自動車メーカーも現地資本(BYDや長安汽車など)のEVプラットフォームやコンポーネントを採用し、自社のエンブレムを付けて新型EVとして現地で販売している現実も直視する必要がある。

