オスカとイターラ、両ブランドの販売などのオペレーションは、既存のDRとは別個に行われるというが、そのビジネス構造は、これから述べるDR社の手法を踏襲するものであることは間違いない。
DR社の創業者ディ・リシオが構築したビジネスモデルは、徹底した市場分析に基づいた合理的なものだ。同社は、中国の奇瑞汽車(Chery)や江淮汽車(JAC)などのプラットフォームを輸入し、イタリア国内の自社工場で最終組み立てと仕様変更を行い、DRブランドとして販売する手法をとった。
この戦略がイタリア市場で成功した主な理由は、圧倒的な低価格にある。欧州の自動車メーカーが、排ガス規制や安全装備の義務化によって車両価格を高騰させる中、DR社は大衆層の求める低価格帯に製品を投入した。
さらに、輸入したエンジンにイタリアで普及しているLPG(液化石油ガス)燃料システムを組み合わせたバイフューエル仕様を主力としたことも、勝因である。環境規制によってディーゼル車が都市部から排除される中、経済性と規制対応を両立したLPG車はユーザーにとって現実的な選択肢となった。
購入しやすい「価格」を大きな武器に
また、単なる並行輸入ではなく、フロントグリルやインテリアをイタリア風に仕立て直してDRのバッジを付けることで、消費者が購入しやすい環境を整えた。その結果、DR社は一時、イタリア国内の新車販売シェアで一部の有名外国メーカーや中堅メーカーを上回る実績を残した。
DR社の製品ラインナップと、イタリア市場における標準的販売価格は以下の通りである。
DR 3/DR 3.0(コンパクトクロスオーバー):1万7900ユーロ~(約295万円~)
DR 4.0/DR 5.0(中核SUV):1万9900ユーロ~(約330万円~)
DR 6.0(フラグシップSUV):2万7900ユーロ~(約460万円~)
DR 7.0(大型SUV):3万2900ユーロ~(約540万円~)
この価格設定がどれほど低いかは、イタリアでの競合モデルと比較すると明確になる。

