AQUOSシリーズは他社にはない筐体デザインや「日本メーカー」という安心感も追い風となり、少しずつであるが支持を広げている。台湾メディアの報道によれば、25年のシャープのスマートフォン販売台数は前年比22%増を記録し、メーカー別販売ランキングで9位に入ったという。シェア自体は数%台と小さいが、着実にユーザー数を積み上げている状況だ。
AQUOSスマートフォンを実際に展示する販売店はまだ限られるものの、台北市内のITビル「三創生活園区(SYNTREND)」内にあるシャープの家電販売コーナーでは、目立つ位置にAQUOSスマートフォンを展示。現地を訪問すると必ず展示製品を端末を熱心に触る地元客の姿を見かけるようになった。台湾市場への再参入からおよそ3年、シャープのスマートフォンは、少しずつだが確実に足場を築きつつあると感じられる。
日本未発売のAQUOSが台湾で育つ
すでに触れたように、台湾のスマートフォン市場はメーカー主導色が濃い。キャリアが発表タイミングやラインナップを握る日本とは異なり、メーカー側が自社のペースで新製品を投入していく。かつて日本のキャリアが「夏モデル」「冬モデル」と足並みをそろえていたような世界も、ここには無い。
その結果、台湾市場に参入しているメーカーも機種数も桁違いに多い。アップル、グーグル、サムスン、シャオミ、OPPO、vivo、realme、HONOR、モトローラに加え、日本のシャープとソニー、そして台湾のASUSとHTCが並ぶ。各社は価格帯を分けて複数機種を投入しており、例えばサムスンの場合、ミドルからエントリー帯だけで日本の数機種に対し、台湾では旧モデルを含め10機種前後が店頭に並ぶ。同じような構図が他メーカーにも当てはまり、1社だけでも常時10機種規模の選択肢が並んでいる。
この“多品種・短サイクル”市場において、シャープは25年に、ライカ監修カメラを訴求する「AQUOS R10」、豊富なカラーバリエーションを備えた「AQUOS sense10」、シンプルな外観と長時間バッテリーで日常使いに振り切った「AQUOS wish5」を投入。さらに26年には、海外向け専用モデル「AQUOS wish5s」を発売した。日本では出していないオリジナルモデルを海外で展開するという姿勢は、チャレンジングと言っていい。

