ところが、ある日開かれた会社全体の大きな会議で、自分がつくった資料を本社や各支社、工場の方々が眺めている姿を目にしたとき、初めて「みんなの役に立てた!」という実感が湧いたのです。
そのときの嬉しさは、今でもよく覚えています。例えば、ファイル整理の仕事にしても、
「◯◯さんが丁寧に整理してくれたおかげで、みんなが使いやすくなりました。とても助かっています。ありがとう」
といった言葉をちゃんとかけてあげることができれば、相手は「自分がチームの役に立った」という実感をもてます。
「共同体感覚」を育てるのはこうした小さな自信と貢献感であり、その積み重ねがメンバーの成長意欲や主体的な行動につながっていくのです。
口調を変えるだけで、部下は動く
「教える」際に決して忘れてはいけないのは、「同じ内容でも口調一つで相手が受け取る印象は大きく変わる」という点です。
たとえば、「コピー取って!」「コピーを取ってください」という言い方。前者はきつい言い方に聞こえます。
一方で後者はどうでしょうか。一見丁寧に聞こえますが、実は相手に有無を言わせない「命令口調」です。言葉の丁寧さはありますが、言われた側はどこか威圧的な圧迫感や反発を感じてしまいます。
では、「コピーを取ってもらえますか?」という言い方はどうでしょう。これだと依頼口調で「お願い」として届くので、強制感がなく、相手は素直に受け止めることができて行動しやすいでしょう。このように、伝える内容が同じでも口調しだいで、受け取る相手の心理は大きく変わるのです。
もちろん、常に依頼口調がよいわけではありません。時と場合によっては、命令口調を使うほうが適切な場合もあります。
たとえば医療現場などで、緊急の場合「◯◯していただけませんか。その後、△△してもらえると助かります」とは言わないでしょう。「◯◯して。次に△△」と端的に言うほうが適切です。

