2度あったことでも、必ずしも3度目があるとは限らない。7月10日に北米で公開された『モアナと伝説の海』(日本は7月31日公開予定)が、そんな厳しい現実を思い出させた。アニメーション版の2作が大ヒットだったにもかかわらず、実写版はがっかりな結果に終わりそうなのだ。
2016年に公開されたアニメーション版の世界興収は6億ドル、2024年公開の続編は10億ドル。しかし、今月10日に北米をはじめ世界各国で公開された実写版は、4300万ドルの北米デビューと、昨年大コケした実写版『白雪姫』とほぼ同じ。全世界レベルでも、9500万ドルのデビューは『白雪姫』の8700万ドルを多少上回る程度だ。2週目には早くも2位に転落したが、これに関してはクリストファー・ノーラン監督の『オデュッセイア』が記録的デビューを果たしたこともあり、致し方なしと言える。
このままだと赤字は確実
このまま『白雪姫』と同じ流れでいけば、最終的な世界興収はおそらく2億ドル強になる。たとえそれよりがんばったとしても、製作費には2億5000万ドル、全世界規模のマーケティングには推定1億5000万ドルが投じられており、赤字は確実と見られている。
このような展開になるとは、誰も予想していなかった。『モアナ』は知名度が高く、愛される知的財産だ。多様化を意識したキャスティングや、主演女優の問題発言で公開前から物議をかもした『白雪姫』のようなネガティブ要素もなかった。
さらに、アニメーション版でマウイの声を演じたドウェイン・ジョンソンをマウイ役に起用し、歌も新曲は最後に流れる1曲だけと、オリジナルに徹底して忠実に作られているのだ。
『白雪姫』の2カ月後に公開された、オリジナルにたっぷり敬意を払った実写版『リロ&スティッチ』が爆発的にヒットしたことも、その段階で撮影を終えていた『モアナ』の製作チームに、「自分たちのアプローチは間違っていない」と確信させただろう。だが、この作品は、その手法が通用しなかったのである。

