『リロ&スティッチ』や、『美女と野獣』『アラジン』、そして“実写化”と呼ぶのはやや微妙な『ライオン・キング』も、オリジナルは手描きの2Dだ。おなじみの話を、丁寧にデザインされて作られた村やお城といったセットと人間の役者で(『ライオン・キング』は人間が出ないが)あらためて見せる映画には、新鮮さとノスタルジーの両方があった。それらには、古典アニメーション版とは違う存在意義があると感じさせられた。
一方、CGアニメーションのテクノロジーが成熟した16年に公開された『モアナ』1作目は、きらめく海、水しぶき、砂浜の感触などを見事に表現していた。登場するかわいい、あるいは奇妙なキャラクターもCGで、立体感や光沢があった。
今回の実写版は、ハワイの海とアトランタのスタジオに設置された本当の水で撮影されたが、オリジナルの映像の信憑性が高いがために、受ける印象はそう変わらない。物語で起きていく数々の不可思議なことや、現実の世界にはいないキャラクターはCGで作られるため、同じように見える。作り手の狙いはまさにそこにあるのだから当然であるにしろ、すべてが同じすぎて、受け手にとって「新たな解釈がない」ということになってしまった。
アニメ版公開から、あまり時間が経っていない
さらに指摘されているのは、公開時期だ。アニメーション版の続編『モアナと伝説の海2』が大ヒットしたのには、1作目公開から8年の間にディズニー・プラスやDVDで人気がますます高まり、人々が新たな作品を求めている状態にあったことも大きい。しかし、続編から今回の実写版公開まで1年8カ月しか経っていない。
また家族向けアニメの『トイ・ストーリー5』と『ミニオンズ&モンスターズ』が大ヒットしているタイミングでの公開も、よくなかった。家族で映画館に行くのに100ドル近くかかるご時世では、昔のように毎週映画館に行く余裕はない。
もっとも、大好きなキャラクターが実写になるということ自体に興味は持たれたのだろう。予告編が解禁されると記録的なアクセスがあった。それもあって、公開前にはもっと良い数字を上げると業界は予想していたのだが、「お金を払って見に行くか?」というと、そうではなかったようだ。

