とはいえ、最も大きな問題は、それ以前の段階にある。『モアナ』と『白雪姫』は、いずれも実写版の題材としてふさわしくなかったのだ。
『白雪姫』は、若く美しい女性が王子様に見そめられ、不幸な状況から救い出してもらって幸せになるという筋書き。21世紀も4分の1が過ぎた今、そんな話を少女たちに向けて真顔で語る実写映画を作るわけにはいかない。だから、王子様は庶民に、ラストは白雪姫が一国のリーダーになるよう変えられた。その結果、『アナと雪の女王』のアナとモアナを混ぜたような、「別に白雪姫である必要はない」と感じさせる映画になった。
『モアナ』は、キャラクターが多様なうえ、少女が冒険に出てアイデンティティを見つけ、立派なリーダーに成長するという、現代の価値観において文句のつけどころがない素材。ビジュアル的にも時代に追いついており、アップデートが不要だ。ならば、ファンを意識してできるだけ触らないほうがいい。そうした思想から、実写版はオリジナルのアニメと同じ設定に落ち着いた。
商業主義が前面に出すぎたか
だが、原点に立ち戻ると、そもそも、人々はアニメーション映画の実写化を求めているのだろうかという疑問が湧いてくる。
たしかに、「もうたくさん」「安易な金儲け」と言われながらも、こうした映画は実際にヒットしてきた。ディズニーブランドの史上最高ヒット6位までに、実写版の『ライオン・キング』と『美女と野獣』がランクインしている。

