しかし暑さで汗をかいて脱水気味になると、唾液の分泌量が減少するため、セキュリティシステムも弱くなります。そうなると、口腔内の細菌も繁殖しやすくなり、むし歯・歯周病・口臭・口内炎リスクが上がりやすくなります。
岡山大学の研究*1では、気温上昇あるいは気圧変化の1〜3日後に、歯の周囲の炎症が増悪すると報告しています。これは、日本の夏特有の急激な気候変化や、それに伴う体調変化が起こりやすい時期に、歯ぐきの炎症も悪化しやすいことを示しています。
「冷房の効いた室内にいれば大丈夫でしょう?」と考えがちですが、リスクはあります。確かに発汗は抑えられますが、温度差により自律神経が乱れやすく、全身のコンディションも低下しやすいので、口腔内の防御力は低下傾向に陥ります。
加えて、夏に脱水症対策として摂取する機会が増える冷たい清涼飲料水やスポーツドリンクにも落とし穴があります。これらの飲料には多量の砂糖が含まれることが多いので、むし歯リスクが非常に高くなります。さらにこうした飲料の多くが歯の最も苦手な「酸性」のため、歯の表面は弱くなり、むし歯リスクを上げる口内環境になります。
食中毒の季節だからこそ知っておきたい、正しい「洗い方・乾かし方」
毎年、夏になると「**を食べて食中毒になり、O157が検出されました」というような報道が増えます。大腸菌として知られるO157は、非常に病原性が強く、数十個の感染で食中毒が発症します。冬場でも大腸菌は生息しますが、日本の夏場は「高温多湿」のピークになるため、菌の繁殖にはこれ以上ない最高の状態になります。
そして、ここからが本題です。冒頭でお伝えしたように口腔内には大腸と同程度の細菌がいます。実は、私たちが毎日口に入れる「歯ブラシ」にはそれらの細菌が付着しており、「高温多湿」は細菌の繁殖に最適な環境なのです。
日本の一般的な住宅事情を考えると、多くのご家庭では、お風呂の脱衣所と併設した洗面所で歯ブラシを保管しているのではないでしょうか。夏の洗面所は、冷房が効きにくい環境で、お風呂上がりの湿気がこもりやすい「家の中で最も高温多湿になりやすいスペース」と言っても過言ではないでしょう。入浴後、洗面所の鏡が真っ白に曇るのを見れば、どれほどの湿気が洗面所に充満するのかわかります。この大量の湿気が、洗面所の歯ブラシの毛先をジメジメに湿らせるのです。

