もう1つある。AIに慣れていない人や、理路整然とした説明が苦手な人は、AIに作業をお願いする際、大事な指示を入れ忘れていることが多い。結果はスライドにまとめて欲しいのか、文章にまとめて欲しいのか、表にまとめて欲しいのか——といったことだ。こういった場合、これまでの生成AIの多くは、どうするかを勝手に決めて作業を進めていた。だが、1つ1つの作業に計画を立て、時間をかけて質の高い結果を返すエージェンティックAIのGensparkでは、ユーザーからの指令が曖昧なら、あとで齟齬(そご)がないよう、いくつか確認の質問をしてから作業を進める。そんな点でも、初心者に使いやすい。
法人向けのサービス設計
個人の愛用者も多いGensparkだが、同社が力を入れているのは企業への導入だ。業務用AIとして使うのに有利な機能を多数用意している。
毎月与えられるクレジットをやりくりしてAIの知力を使う設計は他サービスと同じ。だが法人向けプラン「Genspark for Business」には、部門ごとにクレジット利用量の上限を設定したり、作成した情報の公開・共有の可否を管理者が承認したりと、企業利用に向いた機能が揃う。ローンチから6カ月で、6000社超の法人顧客を獲得した。
日本でも電通やADKといった大手広告代理店、アスクル、阪急阪神不動産、さらに世田谷区などの自治体が採用している。こうしたことから、Gensparkを「AI時代のMicrosoft Office」と評す人もいる。もっとも完全に競合しているわけではなく、Microsoft Officeと連携する機能も充実している。
実際、Genspark側も企業展開ではマイクロソフトをはじめとするパートナーとの協力が重要だと考えている。そしてパートナー企業の側にも、部分的に競合しつつGensparkを評価する姿勢が目立つ。
マイクロソフトは同社を主要インフラ/エージェントパートナーの1社と位置づけ、世界に3拠点しかないMicrosoft Executive Briefing Centerのすべてにブースを構える、数少ないパートナー企業に選んでいる。2026年4月には両社のグローバル戦略提携が発表され、Word、Excel、PowerPoint、そしてMicrosoft Agent 365にGensparkのAIエージェントが組み込まれることになった。

