21歳での多摩美受験と39歳での藝大受験。2つの経験を比較すると、木村さんは「あまり差がない」と語ります。
「アートは、子どもの頃の感覚がそのまま続いている実感があります。一貫したテーマ、一貫したイメージで、ほぼ同じ感覚でした。大人になってからの受験のほうが金銭的な余裕があって楽でしたし、親からのプレッシャーもなかったですね。
21歳の時は高校を2回も中退していたこともあり、誰も自分に期待していない状況でした。だから当時は、『それで受かったら面白いじゃん』という気持ちが、自分のバネになっていました。一方で30代の時はほぼ誰にも言っていなくて。藝大受けるよって言っても鼻で笑われるくらいだろうから、黙って受けて受かったよって言ったほうが面白いかなと思っていました」
2年間の大学生活を終えた木村さんは2026年に41歳で大学院を修了します。
「制作や映像が好きなことだったから、大学の研究を頑張ったという意識はあまりありませんでした。世の中に存在していない映像、自分が見たい映像を、暗闇の中で、手探りで進んでいくような冒険のやりがいを感じていました。好きでやっていたことの延長として研究ができていました」
現在はアルバイトに追われることなく制作に専念
現在の木村さんは、油絵を描きつつ、藝大の修了作品の一つでもある6センチほどの小型コンピューター「ラズベリーパイ」を組み込んだ電子工作的なアニメーション作品を制作しています。
商業アニメーション制作にもアーティストとして参加するなど、活動の幅はさらに拡大中。藝大在学中の作品は東京藝大学長賞を受賞し、副賞として2026年7月からニューヨークでの展示も決定しています。
大学院修了後はBench株式会社からスポンサー支援を受けながら、アルバイトに追われることなく制作に専念できる環境を手にしています。
木村さんは今後の展望として、電子工作的なアニメーション作品の作成を、さらに推し進めていきたいと語りました。
「彫刻とゲームの掛け合わせのような、ハードウェアから作る電子彫刻を作ろうとしています。まだ試作段階ですが、助成金を探しているところですので、もし興味のある方がいれば、ご連絡いただければ嬉しいです」
学校というシステムに馴染めず、何度もそこから離脱してきた木村さんは、独学と思いつきの連続で多摩美術大学、東京藝術大学大学院に辿り着きました。彼は自分の人生から、正規のルートを通らなくても、自分のやり方を信じて積み上げれば道は開くということを証明してくれました。

