婉曲な表現だが「われわれも(相手も)戦艦など持っていないので定義できません」と言っている。おそらく高市首相は「軍艦」というところを「戦艦」と述べてしまったのであろう。
これは石破茂前首相や中谷元元防衛相など、防衛相経験者で軍事的な教養があればまず間違えない。とはいっても人間であるから間違いがあっても仕方があるまい。
であれば、そこは訂正すればいいだけの話だ。ところが首相はその後訂正をすることなく、「中国の戦艦」が存在すると閣議決定した。当然、小泉進次郎防衛相も同意したことになる。
過ちを放置し、文民統制に盲従するだけの防衛省
「誤りを認めたら負け」という気位が高市首相には極めて強いのだろう。
首相が明らかな過ちを犯しながら、それを訂正せずに閣議決定するのは第2次安倍晋三内閣からの悪しき習慣だが、所管官庁として明らかな誤りは、誤りであると首相に諫言するのが所管の役目のはずだ。
文民に盲従することが文民統制ではない。文民たる総理に適切にアドバイス、補佐するのが防衛省、自衛隊のあるべき姿であるはずだ。
首相の矮小なメンツを守るために存在しない「中国の戦艦」に備えるならば、まるでナチス第三帝国で激高するヒトラー総統を諫められず、不条理な命令に従うドイツ国防軍のようだ。
このようにムキになって誤りを認めない首相の気質は戦時の最高指揮官として大問題である。
例えば首相が承認した作戦が大失敗したときに、メンツにこだわって作戦の中止や変更を決定できない可能性がある。それに対して防衛省も自衛隊も首相に意見具申すらせず、そのまま作戦を継続して不要な犠牲者を出すのではないか。それを文民統制といっていいのか。
また高市首相には軍事的な教養が欠如しており、国際条約も無視できると思っているフシがある。
22年3月に自民党政調会長(当時)の高市早苗氏が、テレビ番組で元大阪府知事の橋下徹氏から「最高指揮官となった場合、戦闘員にはどこをゴールにして戦わせるか」と問われた際の回答で「国土、領土、領海、領空、そして国民を守り抜く」ために「申し訳ないですけど最後まで戦っていただくことになる」と述べたことについても質問した。

