これも防衛省として回答しないのはたいへん問題だ。文脈からは首相のいう戦闘員とはハーグ陸戦条約やジュネーブ条約の戦闘員であることは明白であり、日本ではほぼ自衛官と同義語である。
高市首相は自衛官に「降伏するなら死ね」と言うのか
首相就任前とはいえ、高市氏は自衛官に降伏を許さない、降伏するなら死ねと公言していたのだ。その意識のまま首相になっているなら問題であり、防衛省は首相の発言について質し、問題があれば丁寧にレクチャーすべきだろう。
これは自衛官の人権軽視であるだけでなく、国際条約の無視である。これでは旧日本軍と変わらないではないか。旧軍では「生きて虜囚の辱めを受けず」と将兵に捕虜になるなら死ねと教育してきた。
だが現実には捕虜になった将兵は多く、他国のように捕虜になった場合の教育を受けていなかったので軍事機密をペラペラしゃべってしまった。また敵国の捕虜に対して、捕虜になるなどけしからんと国際条約で定められた捕虜の人権を守らず虐待して戦後大きな問題となった。その愚を再現することにもなる。
防衛省は「文民たる首相」が主張すれば戦時における国際条約は守らなくていい、自衛官は死ぬまで戦えと教育するのか。またそうであれば国際条約に対する教育も行わず、これに定められた敵国の捕虜の人権を侵害することにもなり、同盟国や同志国からも国際条約を無視する野蛮国と認識されるだろう。
降伏を許さない、死ぬまで戦えといわれて自衛隊を志願する人間が増えるだろうか。
防衛省の回答を見る限り、文民たる首相が不当な手段でその地位に就いても問題がなく、またその命令には盲従するということだ。軍事的な観点から明らかに誤りである、あるいは国際条約を無視する首相の発言であっても全肯定する。
仮に無茶な命令で隊員が犬死にし、戦争に負けてもそれを是とする。またそれは文民統制の根幹を揺るがすことになるのだが、そのような問題意識もない、ということになる。これは自衛隊の私兵化でもある。
これで文民統制と国防をまっとうできるかたいへん疑問である。

