現在起きている円安は、このメカニズムによる面が大きいと考えられる。つまり、金利上昇と円安は別々の現象ではない。財政への不安、物価への不安、政策運営への不安という同じ“根”から生じているのである。
そのように考えれば、現在起きていることは日本経済にとって大きな危機である。とりわけ重要な問題は、消費税減税を行おうとしていることだ。そして、そのために十分な財源が用意されていないことだ。
したがって、将来の社会保障財源に大きな影響を与える。これはタームプレミアムを高める極めて大きな要因になっているのではないかと考えられる。
いま必要な経済政策は何か
以上のことから、現在の日本にとって必要な対応は次の3つとなる。
第1は、財源の裏付けのない減税を避けることだ。消費税は社会保障を支える重要な財源である。これを減税するのであれば、同時に代替財源を明確にしなければならない。代替財源を示さない減税は、家計支援に見えても、長期的には財政不安を強め、金利上昇と円安を通じて、むしろ国民生活を圧迫する。
第2は、金融政策と財政政策の整合性を取り戻すことだ。日本銀行が物価上昇を抑えるために金融政策を正常化しようとしているときに、政府が財源なき財政拡張を進めれば、政策の方向が矛盾する。その矛盾は、市場では長期金利上昇と円安として表れる。
第3は、円安に依存しない経済構造を作ることだ。円安によって輸出企業の収益を押し上げるという発想は、もはや十分ではない。必要なのは、国内の生産性を高め、実質賃金を上げ、輸入物価上昇に耐えられる経済を作ることである。
長期金利の上昇と円安の進行は、単なる市場の一時的な変動ではない。それは、日本経済に対する市場の警告である。財政への信頼を取り戻し、成長力を高める政策へ転換しなければ、金利上昇と円安はさらに進み、物価上昇と生活不安を強めることになるだろう。

