私は現代文の授業で、生徒たちに「自分の言葉で説明する」ことを大切にしてきました。
文章を読んだあとに、何が書かれていたのかを説明する。筆者は何を伝えようとしていたのかを考える。自分はどこに納得し、どこに疑問を持ったのかを言葉にする。
こうした積み重ねが、読む力を育てていきます。
東大を目指すような生徒たちは、文章を読むとき、ただ内容を覚えていたわけではありません。
読んだ内容を、自分の中で整理し直していました。
だから、初めて読む文章でも、「これはどういうことか」「なぜそう言えるのか」と考える習慣がついていたのです。
読解力は「読後の3分」で育つ
家庭でできることも、特別な訓練ではありません。
本を読み終えたあと、ほんの数分でいいのです。
「どうしてそう思った?」
「もし続きを書くなら、どんな話にする?」
こうした短いやりとりで十分です。
親が正解を教える必要はありません。子どもの答えが大人から見て少しずれていても、すぐに直さなくて大丈夫です。
まずは、子どもが自分の受け取り方を言葉にすること。
そこから、「そう考えた理由は?」「ほかの見方もありそう?」と少しずつ広げていく。
その会話の中で、子どもは文章をもう一度読み直すように考えます。
読書量だけを増やしても、読んだ内容を考える機会がなければ、理解は深まりにくいものです。
一方で、たとえ短い本でも、読んだあとに親子で言葉を交わせば、その読書は子どもの中に残りやすくなります。
本を読ませることは、もちろん大切です。しかし、それだけで終わらせないことも同じくらい大切です。
本を閉じたあとに、親子で交わす短い会話。
その積み重ねが、子どもに「自分の言葉で読む」経験を残していくのです。

