「何度言っても、あの人は動かない」
「正しいことを言っているのに、聞く耳を持たない」
身近な人や会社の同僚に、このような気持ちを抱いたことはありませんか。
自分が”正しい”と思った言葉が伝わらない時、「人類学」の力を借りてみると、相手の反応が少し変わるかもしれません。
私たちは誰しも、自分自身が思う”正しさ”を持っています。最近はメディアでも、”正義”という言葉を頻繁に耳にすることがあります。世の中の争いごとには、立場が違う人たちがお互いの”正義”を主張して起きるものもあります。
衝突を好まない人たちは、自分とは違う”正しさ”を押し付けられたとき、「それはあなたが正しいと思っていることで、私はそう思っていない」と頭の中で考え、その場を沈黙でやり過ごすかもしれません。
しかし、そうして正しさのぶつかり合いになった時、その状況に手を差し伸べてくれる学問があります。それが人類学です。
相手の”正しさ”に寄り添う人類学
著名な人類学者の中に、レヴィ=ストロースという人がいます。彼は自身が生まれ育ったヨーロッパとはまったく違う文化を持つブラジルのアマゾンで、現地調査を行いました。
その際レヴィ=ストロースは、それまで西洋社会が遅れた文化として認識していた、アマゾンに住む人々が、その土地で磨かれた文化や思考を持つことを明らかにしました。
この考え方は、これまで西洋社会が優れている・正しいという前提で、遅れている・未開の社会を変えようとする人々の考え方に大きな影響を与えました。これは、どの文化にも優劣をつけないという文化相対主義という考え方に近いものです。
この考えを私たちの日常生活に当てはめてみましょう。
例えば、後輩が自分とは違う手順で仕事を進めているのを見たとき、「そのやり方は効率が悪い、自分の方法が正しい」と決めつけるのではなく、「その人にはその進め方に至った理由や背景があるのかもしれない」と一度立ち止まって考えてみる。
例えば、家事の仕方が自分と違うパートナーに対して、「こっちが正しいやり方だから合わせて」と自分の基準を押しつけるのではなく、「この人にはこのやり方が育ってきた環境の中で身に付いたものなのだろう」と捉えてみる。


