「普通」とは何でしょうか。普通という言葉の定義としては「大多数の人々が共有し、標準的と見なされるもの」を指すと思います。「皆がだいたいこうしているという状態」と言ってもいいでしょう。
かつて、「1億総中流」と呼ばれた時代がありました。1979年の『国民生活白書』では「中流意識が定着した」と公式に評価されました。当時は、経済成長期、大量生産・大量消費の時代で、白黒テレビ・電気洗濯機・電気冷蔵庫という「三種の神器」がほぼ全国の家庭に普及し、続いて「新三種の神器」と呼ばれたカラーテレビ・クーラー・自動車が夢から現実になりつつある時代でした。
夫妻と子ども2人の核家族が標準世帯と呼ばれ、一戸建てなどのマイホームが達成可能な目標でした。確かに、この時代は多くの人々が自分たちは「普通」であると認識していたでしょう。
「普通のインフレ」が婚姻減・少子化の背景にある
しかし、今やその「普通」が普通ではなくなりつつあります。いわば「普通のインフレ」が起きているといっていいでしょう。そして、これこそが今の婚姻減や少子化につながっています。
皆婚時代で標準世帯が普通だった時代は当然、未婚率は低く、出生数も多かった。誰もがいつかは結婚して家族を持つのだろうと将来を思い描いていましたし、事実それは難しいことではありませんでした。それが「普通」だったからです。しかし、もはやその「普通」は失われつつあります。
普通に恋愛して、普通に結婚して、普通に子どもを産み育てるという「普通」は一部の上位層に限られるようになりました。恋愛も結婚も家族を持つことも、今では「普通ではない」のです。なぜなら、普通のはずの中央値のレベルでは到底達成できるものではなくなったからです。特に、2014年以降の10年でそれは顕著になりました。客観的な数字でご紹介します。
2014年から2024年までの10年間でどれくらい大きな変化があったかについてまとめたものが以下の表です。

