「大社」の下り列車の行程を見てみよう。名古屋発と金沢発があり、この両列車を敦賀で併結。そこから小浜線に入り、西舞鶴からは宮津線(現・京都丹後鉄道)に乗り入れて豊岡へと向かう。この先は山陰本線を出雲市へ。そして大社線に入り、終点の大社に到着する。1976年の時刻表を見ると、名古屋発は9時10分、金沢発は8時53分で、終点の大社着は20時24分。ほぼ12時間にわたる長旅だった。
目まぐるしく風景の変わる旅
筆者は出身地である北陸本線の武生(福井県)からこの列車に終点まで乗り通したことがある。北陸本線から小浜線、そして海沿いの風景が見られる宮津線、山陰本線の余部鉄橋と、これだけ乗り続けて目まぐるしく車窓風景の変わる列車はなかなかないのではないかと感じる列車だった。長距離の旅だったが、各地の停車時間では駅弁も手に入り、飲み食いには困らなかった記憶がある。それもかつての急行列車の旅だった。
頻繁に利用した列車として記憶に残るのは、米坂線のSL撮影に訪れる際の定番だった急行「出羽」だ。上野―酒田間を結ぶ夜行列車で、ちょうど米坂線の早朝の列車撮影に都合がよかった。ただ、夜行ということもあり走行シーンの撮影はしていないのが残念だ。

