「独身偽装をした相手への裁判としては、高額な賠償額が認定されたと考えます」
と話すのは、男女間のトラブルに詳しい村松由紀子弁護士だ。村松さんによると、独身偽装の訴訟では、慰謝料が認められたとしても50~100万円のケースが多いという。
村松さんによると、今回の賠償額が高額になった要因として、
▽結婚を前提に不妊治療などを進めてきた事実から「婚約が成立している」と判断された
▽実際に妊娠している
▽交際開始当初から、「離婚して独身」と積極的にウソをつき、さらに2年間にわたってあらゆるウソをついた点。裁判で、女性の心情への配慮を欠いた身勝手な主張に終始したこと
などが考慮されたと考えられるという。
子どもの養育費は請求できるか
「婚約や妊娠の事情は、慰謝料が増額される原因になります。交際期間の長さも同様です」(村松さん)
女性は男性に対し、子どもの養育費の請求はできるのか。
村松さんによると、男性が認知をしなければ男性と女性の子どもは親子関係にないため、養育費は請求できない。男性に認知を拒まれる可能性もある。
ただ、「男性が認知を拒んだとしても、女性側には裁判所に訴えて認知を強制的に実現してもらう手段があります」(村松さん)
「強制認知」という手続きで認知された場合、親子間の扶養義務が発生し、男性に養育費を請求することができるようになる。また、子どもは男性の相続人になる。
独身偽装による被害は後を絶たない。2024年には「独身偽装被害者の会」が結成されたが、泣き寝入りが多いのが現実だ。金銭をだまし取る目的でなければ刑法の詐欺罪も成立せず、独身偽装を罰する法律はない。

