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もはや「情報を盗む」「金を奪う」ことが目的のサイバー攻撃ではない…次々と企業を襲う"サイバー知能戦"の戦慄

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従来のサイバー攻撃とは一線を画す「サイバー知能戦」の驚くべき実態とは(写真:Graphs/PIXTA)
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第4に「実行」。選んだ一手を、迷いなく実行に移す力。判断が正しくても、実行が遅ければ攻撃者はすでに次の手を打っている。

第5に「学習」。結果をフィードバックし、次の一手をさらに速くする力。攻撃者も学習する。1度使った手口が通じなければ、即座に変異させてくる。防御側もまた、過去の対処から学び、次はより速く、より正確に動かなければならない。

「勝てる判断を、相手より先に生み出す能力」こそが知能である。そしてAI(人工知能)は、この5つのプロセスから構成されるループ(循環)を回す速度を、人間には到達できない領域まで加速させる。

勝敗を分けるのはデータ量の多寡ではない

米陸軍戦略大学の学術誌Parametersでは、AIが戦場の膨大なデータを「凝縮」し、指揮官の判断に必要な選択肢だけを「蒸留」する枠組みをcondensation–distillation framework と呼んでいる。

『2025-2035 サイバー空間の地政学 「見えない戦場」の現在地と未来予測』(日本実業出版社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

勝敗を分けるのはデータ量ではない。雑味を削って"判断に効く情報"をどれだけ早く作れるかだ。自分たちは相手の手の内のすべてを見通しているが、相手にはこちらの意図が見えない。私は精米歩合が高いクリアな日本酒が好みだが、まさにあの透明感こそが、情報の世界で勝敗を分ける。

雑味を落とし、判断に効く"透明度"を上げた側が勝つ。この「情報の非対称性」こそが、サイバー知能戦における最強の武器となる。

2025年3月、NATOはまさにこの原則を実装した。Palantir Technologiesの「Maven Smart System NATO(MSS NATO)」を正式に導入し、要件定義から契約締結までわずか6カ月という異例のスピードで調達を完了させたのだ。

このAIプラットフォームは、NATO加盟国の衛星画像、諜報情報、地上センサーなど多様な情報源からデータを自動統合し、AIが分析・蒸留した結果を指揮官に即座に提示する。

従来は数百〜数千人規模のチームが行っていた戦場データの選別作業を、20〜50人程度で可能にするという。「凝縮・蒸留」は、もはや論文上の概念ではなく実戦システムとして配備される時代に入っている。

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