「リモートワーク、フレックスなど柔軟な働き方ができるために、他の社員とのコミュニケーションは意識的に機会を作らないと優先度が下がりがちになる」
「人員不足で役職者も現場業務が忙しく、コミュニケーションをとる時間がない」
アンケートの自由回答には、社内コミュニケーションが深まらないことに対する担当者らの悩みがうかがえる。
共通のテーマ設定に意義がある
職場のコミュニケーションに詳しい上智大学の清水崇文教授(応用言語学)は、「10分読書」の意義について「本を読むこと自体よりも、共通の話題を設計することにある」と話す。
社員同士の対話を促すにも、テーマがなければ何を話していいか分からない。同じ本を読んでいれば、「この本について話しましょう」という共通の土台が最初から存在するため、会話を始める心理的なハードルが大きく下がる。
また、本の内容を理解すること以上に、本について語り合う過程こそが重要だと指摘する。同じ本でも印象に残る点や受け止め方は人それぞれであり、その対話を通じて相手の価値観や考え方、人柄が自然と伝わる。
「本はあくまで媒介。本について話しているようでいて、実際には相手の考え方や感じ方を知り、互いに信頼関係が深まっていくことに意義がある」(清水教授)
その上で、読書会それ自体が心理的安全性を直接生み出すわけではないとも指摘する。
「大切なのは、その後に継続的な対話が生まれること」

