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「伝統の価値がわからなかったから」若き宮司が消滅寸前・1661年創建の神社で斬新すぎる"御朱印改革"を断行したワケ

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修復中の御社殿
気分を上げる斬新な御朱印。なぜ若き宮司はこのような御朱印を始めたのでしょうか(写真:福島八幡宮提供)
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「目の前が真っ暗でした」と言う吉開氏。それでも300年以上続く神社を潰すわけにはいかない。若き宮司が最初に目を付けたのは、御朱印だった。当時は御朱印ブームの真っ只中、もっとも“現実的な打開策”と考えたのだ。

そこで、御朱印として使う角印を作ることから始めた。

神社で使う角印は篆刻師(てんこくし)や印章店(はんこ屋)、あるいは神社仏閣向けの印章を専門に制作する業者に発注するのが普通だ。吉開氏は市内にあるサカイ文具店に依頼した。学校や会社などを取引先とする事務用品・事務機器店で、はんこも扱っていた。

「今さら遅い」の声を覆す

角印ができあがると、御朱印を求めてくる参拝客を迎え、印を押し、筆で神社の名前を書き入れていく。しかし、ちらほらと御朱印を求める人は訪れるものの、口コミだけで参拝客が劇的に増えるわけはなかった。

「御朱印を始めるときに、御朱印やお守り制作を行う専門業者に相談したのですが、『ブームはもうピークを過ぎている。今さら力を入れても遅い』って釘を刺されたんですよね。まさにその通りでした」と吉開氏は振り返る。

だが、この経験がのちに神社がブレイクするきっかけとなった。

当時の御朱印ブームや神社巡りを支えていたのは、主に50〜60代の女性。その年代だけでなく、SNSの主なユーザー層である若い世代を訴求する手立てが必要と考えた吉開氏は、埼玉にある寺院の切り絵の御朱印に着想を得て、若者層にささる御朱印づくりをスタートする。

「僕自身が20代とまだ若かったこともあり、神社の角印と名前だけのシンプルな御朱印も含め、古き良き伝統あるものの価値が正直わからなかった。わからないからこそ、若い世代、自分がよいと思えるものをつくればいいと考えました」(吉開氏)

思いがけず福島八幡宮のすぐそばに、「くろくも舎」を主宰する切り絵作家がいた。依頼すると断られたが、一度断られたぐらいであきらめる吉開氏ではない。何度も熱意を伝えるうちに、「そこまで言うならば」とコラボレーションが実現。緻密な細工を施した「切り絵御朱印」が誕生した。

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