スプーンで触れると、固焼きならではの適度な弾力を感じる。ひとすくいして口に含む。甘すぎない、そして卵の風味をしっかりと感じる味わいだ。なめらかすぎず、昔ながらの固めな口触りで、寿司の余韻を壊さないながらプリンとしての主張もある。
何よりサイズがいい。大きすぎず、小さすぎず。あえていうならば「ちょっと物足りない」くらい。これくらいの量ならば、寿司を食べた後でもぺろりと食べられるし「また食べてみたいな」と思える。確かにこれは印象に残るプリンだなと感じた。
目指したのは「茶碗蒸し」と「玉子焼き」の中間
それにしても、なぜ本格的な寿司を売りにする銚子丸が、プリンを扱い始めたのか。
同社によると、特製プリンを発売したのは2002年のこと。もともと果物やゼリーに加えて既製品のプリンなどを提供していたというが、さらに満足感が高くかつ食べ応えのある定番となるようなスイーツを作りたいと考えたのがきっかけだった。
開発にあたっては社内だけでなく、菓子製造を手掛ける企業とパートナーシップを組んだ。パティシエの意見を取り入れながらブラッシュアップを重ねたという。
目指したのは「重たくない甘さ」。そこで、一般的なプリンではグラニュー糖や三温糖で甘さを出すところ、自家製プリンには生クリームや練乳などを入れて現在の上品な味付けが完成した。
特に苦労したのが、自家製プリンが人気を呼んでいる「レトロさ」の要因でもある「固さ」だった。寿司の定番サイドメニューである茶碗蒸しと玉子焼きの中間を狙って商品を設計したが、生焼けだったり柔らかすぎる仕上がりになったりと火入れがうまくいかなかった。それでも地道に何回もの試作を重ね、生地の配合や焼き加減の最適解を見つけたことで、現在のような食感に落ち着いた。

