パワハラ課長への停職3カ月の処分が公表されたのは昨年9月29日。懲戒処分には軽い順に戒告、減給、停職、免職の4種類があり、停職と免職にはマスコミなどへの公表義務が伴う。相談窓口の幹部による「(加害者が)停職、免職になることはありえない」というAさんらへの説明は結果として大きな誤りだった。
「『停職、免職はありえない』と私たちに言うことで、告発をあきらめさせるか、公表なしの軽い処分にするつもりだったのでしょう。区議に相談せず、チェックの目がなかったとしたらどうなっていたか」。Aさんは今もそう思う。
停職明け後も被害者と同じ職場に置かれる
AさんとBさんには、パワハラ課長の処分が公表された後も区からの説明は一切なく、訴えた中のどれがパワハラに認定され、どれが認定されなかったかは不明のまま。また、区はパワハラ課長を停職明け後も異動させず、Bさんは今年1月から3月末まで加害者と同じ職場での勤務を余儀なくされた。
こうした一連の世田谷区の対応について、ハラスメント問題に詳しい東京法律事務所の青龍美和子弁護士は指摘する。
「調査の過程では誰が告発したのか、ハラスメント行為者にわかってしまう場合があります。ですが、『あなたからこういう相談があったことを(パワハラ行為者ら4人に)説明せざるをえない』という相談窓口の幹部の説明は実際、言い方が悪かったのではないかと思います。調査を始めてもないのに『(加害者の)停職、免職はありえない』と伝えたことについても不適切な対応であると言わざるをえません」
停職処分を巡る説明をしていないことについては「世田谷区のハラスメントの防止に関する基本方針によれば、ハラスメント対策委員会は、審議の結果を相談者にも報告することになっています。今回のパワハラをめぐる審議結果を被害者に報告しなかったことは基本方針に反していますし、理由も不明で不誠実な対応だと思います」。
さらに加害者と被害者を停職明け後も同じ職場に配置したことについて「メンタルヘルスの不調を抱える職員の状態を悪化させるような人事配置をめぐっては、生命や身体の安全を確保しながら働けるよう配慮するという労働契約上の安全配慮義務違反に問われる可能性がある」と述べた。

