Aさんは25年4月初め、Bさんと共にハラスメント相談の窓口を訪れて担当幹部に被害相談をする。Aさんがパワハラについて一通りの説明を終えると、担当幹部からこう言われた。
「パワハラとして組織的な対応を望むなら、加害者に告発した人がわかってしまう。それでもなお、対応を望まれるのか」。いくつかのやり取りを経て、「あなたからこういう相談があったことを(パワハラ課長を含む)4人の部課長に説明せざるをえない」とも告げられた。
厚労省によるパワハラ防止の指針や世田谷区のハラスメントの防止に関する基本方針では、相談や苦情処理に当たっては、当事者のプライバシー保護は最優先課題となっている。
Aさんは振り返る。「調査をする中で誰が告発したのかわかってしまうかも、と思っていました。ですが、『Aからの相談だ』とパワハラ加害者ら(4人の部課長)に窓口担当者が説明するのは明らかにおかしい。誰が告発したかを教えることです。事実上の追い返しだと思いました。対応も親身でなく、同じような言葉を聞いて訴えを引っ込めた職員も多かったのでは」
「免職や停職はありえない」
Aさんの思いを逆なでするような対応はその後も続く。
半月後の25年4月中旬、AさんとBさんは相談窓口の担当幹部に呼び出され、「まずは所属職場の部長から総務部宛に『事故報告』を提出してもらうのがセオリー。一次調査は部長が担う」と伝えられた。その際、「処分が出るまで、(加害者の課長と)同じ職場で過ごさなければだめか」との2人の問いに、担当幹部はこう言った。「私の印象では(課長の言動が)懲戒免職や停職になることは現実的にありえない。しばらくは同じ職場で過ごしてもらう」。
不信を募らせたAさんは、ハラスメント問題を区議会でたびたび追及していた後述する区議会議員に連絡して事情を説明する。一連の経緯について思いを伝えた。それを受けて区議は同月下旬、「パワハラの被害者に寄り添った対応をしているのか」と相談担当幹部らから電話や面談で事情を聴取した。

