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高市首相が胸を張るほど〈経済成長〉と〈財政の持続可能性〉の両立は望めない…都合よく金利を設定した内閣府試算

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高市財政が本格始動(写真:つのだよしお/アフロ)
  • 土居 丈朗 慶應義塾大学 経済学部教授
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財政収支の定義に即せば、財政収支赤字=PB赤字+利払い費である。利払い費が増えれば、財政収支赤字は増える。ただ、PBが黒字ならば、それは国・地方の公債等残高対GDP比は低下要因となる。

現に、内閣府が示した成長戦略実現ケース①では、PBは28年度以降継続して黒字が増え続けており、40年度には対GDP比で1%近くの黒字となっている。

だから、財政収支赤字対GDP比が拡大しても、PB対GDP比の黒字が拡大し続けることで、国・地方の公債等残高対GDP比は安定的に低下し続けるという試算結果になる。ただ、財政収支赤字対GDP比が拡大する裏側では、利払い費が拡大し続けていることを意味する。

では、成長戦略実現ケース①では、どのような金利想定になっているか。内閣府は、本稿執筆時点でなぜかいっさい公表されていない。やましいことでもあるのだろうか。

内閣府が前提とする金利を割り出してみた

そこで、本稿では、その金利想定を探る。筆者は、本稿を執筆するにあたり、内部資料もインサイダー情報もいっさい持っていない。内閣府の実務担当者からの事前説明もいっさいない。あるのは、6月24日に公表された前掲資料のみである。

内閣府の試算結果は、名目経済成長率、国・地方の公債等残高対GDP比、PB対GDP比、財政収支対GDP比のグラフだけが示された。各年度の詳細な数値はない。そのため、筆者はPDFファイル上で物差しを当てておおよその数値を測った。これらの数値がわかれば、政府の予算制約式(歳入=歳出)から数値と整合的に算出できる金利が明らかとなる。

この金利は、予算制約式上の金利であって、市場での長期金利とは異なる。この金利で、前年度の国・地方の公債等残高対GDP比から今年度の国・地方の公債等残高対GDP比が割り出せるかも検算している。

その金利を示したのが、図1である。

図1の赤線が、成長戦略実現ケース①と整合的な金利である。市場での金利が上昇したからといって直ちに既発債の利払費が増えるわけではない。各年度で新規発行する国債や、かつての低金利期に発行された国債が償還され借り換えられる国債によって次第に置き換わり、徐々に金利が上昇してゆく。

ただ、近年では年限をあらかじめ定めて発行する国債のほぼ半分は2年以下の国債だから、市場での金利が上昇すれば以前に比べて早く利払い費に影響する金利は上昇する。

図1の赤線をみると、30年度には2%を超え、34年度には3%を超えて、40年度には約4%にまで上昇すると見込んでいるようである。

ところが、中長期試算の本稿執筆時点での最新版である26年1月試算の成長移行ケースで、同じように金利を算出したのが、図の紫線である(試算は35年度まで)。成長戦略実現ケース①の赤線は、26年1月の中長期試算の成長移行ケースの紫線とほとんど変わらない。

「国債増発するのに、金利はほぼ同じ」という甘い想定

これをみると、成長戦略実現ケース①は甘い想定と言わざるを得ない。26年1月の成長移行ケースでも、先行きの経済について相対的に楽観的なシナリオである。それでも、金利上昇は織り込んでいた。

成長戦略実現ケース①は、26年1月試算の成長移行ケースよりも、前述した追加財政支出を出すために財政赤字を拡大させる、つまり国債をさらに増発することとなっている。さらに国債を増発するにもかかわらず、金利想定がほぼ同じというのは、都合のいい試算と言わざるを得ない。

しかも、成長戦略実現ケース①の試算では織り込まれていない国債の増発も予定されている。

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