USMCA見直しにあたって、アメリカ側から少しでも有利な条件を引き出したい。そのためには、メキシコ迂回に警戒感を強めるアメリカの心証を改善したい。そうした思惑があったのではないでしょうか。
一方で、中国製品の排除を念頭に置いた今回の政策は、メキシコ(と、おそらくアメリカ)の想定とは異なる結果を生みつつあります。
というのも、中国企業が今度はカナダに注目し始めているからです。
カナダ政府は2年前の24年10月から、中国製EV(電気自動車)に対して100%の追加関税を課してきました。ところが26年に入り、年間4.9万台の国別輸入枠を設け、枠内についてはMFN税率6.1%を適用する制度へと移行しました。
簡単に言うと、中国車について一定の輸入を容認する方向へと転じたのです。
その背景には、トランプ政権発足によってカナダとアメリカの関係が悪化したことに加え、アメリカの環境規制緩和によってカナダ国内の自動車産業政策が打撃を受けたことがあります。
というのも、トランプ第2次政権は重要な環境規制を根本的に見直しており、つぎに民主党に政権交代しても簡単には変更できないしくみづくりを進めています。BEVにも否定的なスタンスです。
カナダはBEVが今後拡大するとみて、オンタリオ州にBEV工場を誘致したりしてきましたから、これは大きな打撃です。
オンタリオ州に中国車誘致も?
そこでカナダ政府は“中国受け入れ”へ方針転換したわけです。オンタリオ州にも中国ブランドを誘致する構想があり、すでに同州にあるステランティス社の工場では、中国ブランド車の生産に向けた協議が進んでいるとも言われています。
カナダとアメリカは国境を接しており、
アメリカ政府は、カナダが中国ブランド車の「抜け道」となるリスクを指摘しています。この新たな動きは、次年度に見送られたUSMCAの見直し作業においても重要な要素となりそうです。

