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武田薬品工業ジュリー・キム新CEO「ROE5%達成は2~3年以内を目指す」

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(写真:ブルームバーグ)

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武田薬品工業の新社長兼最高経営責任者(CEO)に就任したジュリー・キム氏は、同社で初めて自己資本利益率(ROE)の目標を掲げ、主力市場の米国を軸に成長戦略と組織改革を進める。大型買収後の事業再編が一巡しつつあり、新薬投入を持続的な収益拡大につなげられるかが焦点となる。

キム新CEOは25日の就任会見で、「2~3年以内にROE5%以上を目指す」と述べた。取締役会からは少なくとも10年のコミットメントを求められたとし、今後2~3年は、コスト構造の再構築を進めながら成長加速につながる成果創出に注力する期間と位置づけた。

外部資産でパイプライン補強

キム氏はまた、「戦略に合致するイノベーションがあれば、外部のアセット取得も積極的に行う」と述べた。後期開発段階は良好な状態にある一方、「初期開発段階のパイプラインについては取り組むべき課題がある」と指摘。社内での研究開発に加えて、血液がんや胃がん、神経科学などの「重点領域での戦略的なアセット獲得を通じて補強していく必要がある」と話した。

純有利子負債のEBITDAに対する倍率については、前期末時点の2.6倍から、営業活動で生み出すキャッシュフローを返済に充てることで、「2倍の水準を維持していく」と述べた。

AIの導入についても熱を込める。すでにAIの活用により、創薬におけるターゲット特定を約6カ月から2週間に短縮できたという。今後はこうした取り組みを研究開発全体に広げていく考えだ。

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

成長実行の手腕

キム氏は2019年のシャイアー買収に伴い武田薬品に入社し、米国事業のプレジデントなどを務めた。245年の歴史を持つ同社で初の女性社長となる。

12年間にわたり同社を率いたクリストフ・ウェバー氏は、19年のシャイアー買収など大型の合併・買収(M&A)を通じ世界的なメガファーマ(巨大製薬企業)への転換を主導した。キム氏には、買収後の統合作業を経て、米国を中心とする成長戦略を実行に移す手腕が問われる。

足元では、注意欠陥多動性障害(ADHD)治療薬ビバンセの後発品影響が業績の重しとなっている。25年度売上収益の約2割を占める腸疾患薬エンティビオも、30年代前半には同等の効能を持つ後続薬の参入リスクが意識される。一方、睡眠障害治療薬オベポレクストンを含む3つの新薬の上市を控えており、新製品の立ち上がりが今後の成長を左右する。

組織改革を評価

サンフォード・C・バーンスタインのアナリスト、曽木美希氏は、キム氏主導ですでに発表された費用削減施策を「単純な人員削減ではなく、組織をシンプルにする改革だ」と評価する。地域別だった組織を「米国」と「米国外」の2区分に再編する方針については、「オペレーションの観点から理にかなっており、他の製薬会社ではなかなか踏み切れない、勇気のいる改革だ」と話す。

曽木氏はウェバー氏との違いとして、米国事業の価値最大化を重視する経営姿勢を挙げる。従来の「欧州や日本、新興国も含めてバランスよく見る考え方からシフトしている」と分析。今期については「重要な新薬の臨床試験結果が相次ぐカタリスト(材料)の多い年で、新製品が成長をけん引するタイミングでの就任だ」とみている。

キム氏は収益性の向上という課題も引き継ぐ。曽木氏は、ROEや営業利益率など収益面での課題は残ると指摘。その上で、「新製品の成功や組織再編、パイプラインの進展に着実に取り組むことで、収益性の改善がついてくるだろう」との見方を示した。

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著者:長谷部結衣

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